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コロナ時代に考えたい学校問題【第31回】

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「ブラック」という風評被害

 昨年までの状況で言えば、「最初は教師になろうと思っていましたが、いじめはあるし、土日はないし、酷いブラックなので教師への夢は辞めました」という学生が急増している。
 その影響は、かなり深刻になっている。学校の不祥事は以前にもあったが、その報道が過度になり、連日、世間を騒がせてきた。本人は頑張ろうとしても、親や知人からも辞めるように勧められているそうだ。ここまで来ると連鎖が始まる。

 過日、ある企業の人事担当に会った時に、ブラック風評に困っている話をしたら、「こちらにはいい人材が流れて来るので助かる」と話していた。「教師志望の学生は真面目だし、体力もあるし、文句も言わないから扱いやすいよ」と、不埒にも喜んでいた。メディアの報道の影響か、教師になるべき人材が、企業に流れている。
 だが、採用3年目までの離職率を企業と比較すると、教員は1%に満たないとされるが、個々の企業は公表を避ける。厚生労働省の集計では30%を越えている。おしなべていえば、企業の職場は少なくともダークブラックであることがわかる。

 これこそ労働の実態であり、紛れもない現実なのである。「ブラック」を避けて、「ダークブラック」を選択する学生が風評に振り回されぬよう正しい情報を提供し、何としても人材の流出を止めねばならない。金儲けの道具にされ捨てられた青年の自殺も歯止めがかからない。
 これらを放置しては教育の衰退は目に見えている。教育関係者は、傍観していてはならない「緊急事態」である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題