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本物と交流、プレゼン機会提供

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学校推薦・総合型選抜に勝つ 下
広尾学園中学校・高校

 100年以上の歴史を持つ東京・港区の広尾学園中学校・高校(南風原朝和校長、生徒1609人)では、生徒がさまざまな分野の専門家と交流して社会の課題を解決していく課外活動が盛んに行われる他、行事や授業でのプレゼンテーション活動を通して表現力を高めるようにしている。こうした取り組みは、書類選考や面接などを行う学校推薦型選抜・総合型選抜で求められる能力の育成にもつながっている。
 同校は、普通科に当たる「本科コース」の他、医学部や理系学部への進学を目指す「医進・サイエンスコース」、英語の実践や国際教育を中心とした「インターナショナルコース」を併設している。
 卒業生の進学状況では、ここ数年で国内外の難関大学への合格者が増加。昨年度は、医学部医学科が76人、国公立大学が82人、慶應義塾大学や早稲田大学などの難関私立大学が267人だった。増加が目立つのが、米国やカナダなどの海外大学の合格者だ。222人の合格者を送り出し、前年度の78人から大幅に増えた。
 海外大学の場合、筆記試験の成績だけでなく高校3年間の実績などが重視される。学校推薦型選抜・総合型選抜と同じく、授業以外の自主的な活動も評価対象になる。そのため、実社会と関わる活動を、放課後や長期休業期間などに自主的に進めている生徒が多い。
 多くの生徒は海外大学の講義映像に日本語訳を付けてインターネット上で公開する活動に取り組んでいる。当初、この活動はインターナショナルコースで始まったが、現在はコースに関係なく希望する生徒が参加している。学校側は、そうした生徒の「やりたい」に応えるため、環境面の整備などで支援している。
 同校が生徒に勧めたいのは「高校生のうちに本物と直接ぶつかること」。医師や研究者など、その道の専門家らとの交流を通して、学校での学習が社会でどう役立つのか、生徒に気付かせたいとの思いがある。
 また、教科等の学習と学校行事を核とした取り組みも充実させている。その一つが、プレゼンテーションの機会の提供だ。
 例えば、文化祭では、中学1年から高校2年までの全生徒が、それぞれ興味のあるテーマのプレゼンテーションを行う。普段の授業でも発表や議論の場を設けており、力を入れている。
 卒業生からも「他の学校の出身者より、人前で発表する機会が多かったと感じる」という声もあるほどで、とにかく経験させることを重視。金子暁副校長は「多くの人に分かりやすく内容を伝えるために資料作りや発表の仕方を工夫する中で、表現力などが自然と身に付いているのではないか」と分析する。
 また、学校教育の在り方についても金子副校長は「特定の教育活動にだけ集中させるのではなく、教科学習や行事、課外活動などさまざまな取り組みと連携させることで、生徒が学習と社会とのつながりを自身で見いだし、意欲の向上や能力の育成につながるのではないか」と話している。

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