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教育を読み解くデータサイエンス データ収集と分析の論理

14面記事

書評

耳塚 寛明 監修
中西 啓喜 編著
客観的分析踏まえた教育改革へ

 本書は、教員やその志望者、教育行政関係者を読者として想定している。これらの教育関係者は、知識を利用するだけでなく、新たな知識や価値を創造する仕事に従事しているにもかかわらず、「子どもの成長と教育の成果は数値では測れない」という、何の根拠もない神話をかたくなに信じ、知的価値の創造に不可欠な統計データを読み解く能力=統計リテラシーの向上を図る努力を怠っている、これが著者たちの課題意識である。
 著者たちは、本書で解説するデータサイエンス(データから新たな価値を創出する科学)を活用することは、教育問題をデータによって把握し、問題解決に向けた努力をどのように行うべきかを決定するファースト・ステップになると説く。第I部では、調査研究の始め方・進め方を解説する。特に、人文・社会科学研究では、研究仮説に当事者の価値観が入り込むという警鐘は、校内研究を進める上で大いに参考となる。第II部では、データの収集方法と基礎的な統計の知識を解説する。「分析結果表の読み方を知りたい」という読者には、最初に第6章「実際の結果を読んでみる」をお勧めする。第III部以降では、基礎的な分析手法から高度な分析手法まで解説する。本書は教育データを活用した教育改革を進める上で大きな力を貸してくれるはずだ。
(3300円 ミネルヴァ書房)
(新藤 久典・文部科学省学校業務改善アドバイザー)

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