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みんなで考えよう18歳成人 大人になるってどういうこと?

16面記事

書評

神内 聡 著
事例やコラムで課題を平易に解説

 本年4月から民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられた。しかし、日本財団の「18歳意識調査」(令和4年3月)では、「成人」と呼ばれるにふさわしい大人になったと自覚があるのは全体の47・9%と半数以下だった。また「自分を大人」「責任ある社会の一員」と考えている日本の若者は約30~50%と、他国の3分の1から6割程度にとどまっている。
 著者の神内聡氏はスクールロイヤーとして有名で、学校の教師経験もある。そのため学校現場の事情にも精通している。
 本書は若者向けに18歳成人に伴う課題について事例やコラムなどを用い、さらに答えのない問いも考えるように構成されている。例えば、スマホ、SNSや契約がらみのトラブルから保護者の同意なしの退学届、生徒同士の結婚や校則問題までと幅広い。
 法律関係の本は一般人には分かりにくいものも多いが、本書は実際に起こり得る課題について、小・中学生が読んでも理解できるくらい分かりやすく書かれている。
 また、Q&A形式で学校や保護者の対応についても丁寧に解説している。
 新聞報道等では、契約トラブル若年化を懸念する記事が多い。しかし、上記のような若者の意識も大きな課題である。学校での指導だけに任せるのではなく、社会全体での機運醸成が必要だ。そのための有効な一冊だと思う。
(1650円 くもん出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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