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情報教育と学校図書館が結びつくために

12面記事

書評

「シリーズ学びの環境デザインを考える」第2巻
今井 福司 編著
電子書籍の状況、先進的実践など紹介

 学校において伝統的に「情報」を扱ってきた設備として学校図書館がある。社会の変化の中で情報教育の重要性は高まっている。一部の学校では、紙媒体とコンピュータを同時に利用するメディアセンターとして整備されているが、多くの場合、学校図書館と情報教育とは乖離している現状だ。
 著者らは、学校図書館の機能を十分生かすために、情報教育や情報技術を理解し、関わるべきとの考えで本書を執筆。
 まず、情報教育と学校図書館のそれぞれの歴史的変遷を概観。次いで、紙媒体を超えて普及しつつある電子書籍の状況と電子図書館の今後を展望。プログラミング教育について述べた後、世界最大のオンライン百科事典Wikipediaについて関係者とメールで対談した内容へと続く。Wikipediaには、独自研究は載せないなど編集の三大方針があるという。デジタル情報資源を利用している者として知っておきたいことだ。
 第5章「情報化した『モノ』と向き合う学校図書館の可能性」では、デジタルデータを基にした創造的なモノづくりや、先進的な公立図書館の実践などを紹介。学校図書館の今後の役割も提案している。
 児童・生徒を取り巻く情報環境や学び方は大きく変化しており、学校図書館も情報資源を扱う設備として変わる時にある。情報社会を見据え、できることから取り組んでいくことが期待される。
(1980円 悠光堂)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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