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一刀両断 実践者の視点から【第215回】

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誰が「総合」を学生に教える

 高校で必修の「総合的な探究の時間」について、教員の5割が「生徒の質問に答える時間や人脈がない」と言う記事(高校「探究」教員半数が「質問に応じる時間、人脈ない」)がやっと出た。これはやる前からわかっていた事であり、やはりかと納得するとともに後手後手になって教師を苦しめている事が分かる内容ではないだろうか。
 現在、大学でも総合的な学習の時間を教えている教師にまずもって人脈はなく、理論と理屈と理想論しか学生に伝わってはいない現実がある。酷いのは、道徳などが専門の教員が総合を教えても構わないとしている仕組みである。実践がなく苦労した事のない教員が学生に教える事が出来て、一方、総合をやってきた教員が教えられないという不整合がまかり通っている。
 このように実態に合わない事を現在もやり続けているのだから、改善などする意思もなければ策もない。このような疲弊の原因は誰が作ったのか?少なくとも学校の教師ではない。そこを厳しく追求しつつ、抜本的なチェンジをしない限りは嘆きばかりで、現実の学校現場は何も変わらない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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