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シリーズ 学びとビーイング 1.いま授業とは、学校とは何かを考える

12面記事

書評

河口 竜行・木村 剛・法貴 孝哲・皆川 雅樹・米元 洋次 編著
寄稿や座談会で多角的視点を提供

 本著は「学びとビーイング(あり方)」をメインテーマとした、寄稿を中心とするシリーズ4冊の1冊目である。創刊となる本著では、「授業とは、学校とは何か」をテーマに、中・高校の教員をはじめ多彩な分野から25人の論考や編者による座談会等多角的な視点からテーマに迫っている。テーマに対して、アラカルト的な要素が満載で、各編見開き2ページの論考にうなずいたり、自ら調べ直しをしたりじっくりと向き合う構成となっている。
 評者には普段関わりの薄い高校が、本年度からの「観点別評価」の導入で、授業観のパラダイムシフトが求められている。その中で寄稿者の「変化を怖がる者に、成長し変化し続ける若者たちを育てることはできない」と言い切っている一文が教師のあり方、学校のあり方を問うものとして強く印象に残った。そして、それを体現している人物のインタビューも興味深い。
 また、教師自身がこれからの学校や教師のあり方を問い直していくことが不可欠であるが、現実は教師同士の個人的関係の中でも、校内全体でも議論や対話をする時間が持たれていない、との指摘があった。教員の専門性を高める活動のプライオリティを働き方改革ともつなげながら検討する必要性を感じた。続編が今から楽しみである。
(1650円 りょうゆう出版)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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