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何かが起きる前に、誰かが傷つく前に「週1回×10分間」で学べる安全教育

16面記事

書評

山崎 雅史 著
シナリオ形式で具体的に紹介

 安全・安心な社会が良いと誰もが願うが、世の中は危険に満ちている。大人が子どもを守るのは当然だが、子どもたち自身にも、学校を含め日常生活を安全に過ごすために必要な知識や技能と、いざというときにそれを生かして安全な行動を考え実行できる力を育てたい。
 本書は、朝の会、帰りの会、授業のはじめなどに、週1回×10分間で一つのテーマを取り上げることを想定し、小学校の低・中・高学年別に「そのまま使えるシナリオ」を紹介している。
 生活安全、交通安全、災害安全、現代的諸課題と大きく四つの領域別に、35週を想定して35のテーマを挙げる。重要事項を俯瞰する上でも参考になる。このうち現代的諸課題では、性に関する指導やSNSの使い方、危険生物なども取り上げている。具体的にどういう場面で何に気を付けるべきかといった事例も豊富で分かりやすい。
 安全教育は特別なものではない。これまで通りの学習活動に安全の視点を加えることが重要だ。教員自身がアンテナを高くし、日頃から関連する情報や事例に敏感になることが、安全教育を負担感なく行え、子どもたちに必要な力を育てることにもつながる。
 こうした日常的な安全教育をまだ習慣化できていないと感じておられる方は、本書の「導入」「まとめ」の例なども参考に、一歩を踏み出されてはいかがだろうか。
(2046円 明治図書出版)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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