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教育コンサルが教える学校改革

16面記事

書評

松原 和之 著
広報・学習・組織の方略説く

 20年前、学校経営の見直しブームがあり、ドラッカーなどの著作物や企業経営者の講演などが流行した。民間人校長が広がり始めたのもこのころだ。しかし、現在は熱気は冷めたようだが、どうだろうか。
 本書は、教育コンサルタントの人が書いている。多くは私学での実践なので、公立の管理職は無関係と思うかもしれないが、参考になることが多い。教員気質として前例踏襲支持者が多い点では公立も私立も同じだ。
 内容は、まず学校の広報戦略を述べている。例えば、いかに入学後の教育価値を伝えるかという「期待感醸成」の重要性を訴える。このあたりは選考のある公立高校も役に立つし、小・中学校も学校要覧作成の参考になる。
 次に、学習方略について。これは学習活動の進め方や工夫のことである。五つの方略を挙げているが、学習の質を高めるために行うものであり、大変参考になる。さらに、学校組織の改革として、教育ビジョンの重要性を示している。教育ビジョンの他に学校組織ビジョンや教職員ビジョンがあり、学校経営方針作成の参考になる。
 その他にも「学校改革のコツ」というポイントを15項目にまとめている。また、「コンサルタントの技」というコラムもあり興味深い。学校改革の最大の敵は「組織慣性」という組織文化であるとの指摘は全ての学校に共通している課題であろう。
(2310円 東洋館出版社)
(中村 豊・前公益社団法人日本教育会事務局長)

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