「生徒指導部」から「生徒支援部」へ ぬくもりのある学校をめざして分掌からはじめる実践
16面記事
逸見 峻介 著
生徒主体の分掌改革の歩み
「生徒指導のある学校、ない学校」「舐められたら終わり」「社会は理不尽だから、校則はそれに耐える練習である」、校則の公開について「晒されると議論の対象となってしまう」…。生徒指導の世界では”あるある”なのかもしれないが、一つでもうなずいてしまった読者がいたら、本書を手に取ってもらいたい。
市民社会の一員としての生徒育成に孤軍奮闘する教員は少なくないだろう。だが、学校が変わるためには、生徒主体の分掌改革、教員集団が必要であり、その考え方と歩みを述べたのが本書である。
「指導」から「支援」へと言葉だけを変えているわけではない。改革の舞台となっている埼玉県立新座高校は多様な生徒が在籍する中で、高校としては珍しい授業改善に取り組む「授業研究会」の実践をしていることで知られる。
生徒指導改革を進めることのできる学校文化・土壌に、生徒指導の在り方を見直したいと希求する人たちがタイミングよく出合った結果なのかもしれない。
生徒「支援」とは何か?(第1章)で狭義の生徒指導からの脱却を説き、新座高校での実践を第2章で解説した。「生徒支援」のまなざしを持つ教員像(第3章)を語り、民主的で対話的な分掌の在り方(第4章)を示す。
主体的・対話的で深い学びのできる生徒をどう育てるか。新たな生徒指導の課題でもあろう。
(1980円 学事出版)
(矢)