人はなぜ午前中より午後にウソをつくのか 「なんとなく」の心理を科学する・下
15面記事
松井 亮太 著 中村 結衣 マンガ・イラスト 森屋 紫苑 図版作成
集団、倫理巡る意思決定題材に
『人はなぜ★5より★2のレビューが気になるのか』(本紙2月9日付掲載)に続く下巻。上巻同様、人間の意思決定の特性を実験などにより心理学的に明らかにしようとする「行動意思決定論」の楽しい入門書だ。
一度もうそをついたことがない評者には書名の意味が理解できないが(本稿は午後に書いている)、例えば普段より暖かい日にアンケート調査をすると地球温暖化問題への関心が高くなる、誕生日に頼み事をすると協力してくれる確率が高まるなど、なるほどそうかもね、と感じる「研究」の例が多数紹介されている。
自分では客観的に判断しているつもりでも、実際には無意識のうちに「感情」が意思決定に影響する、あるいはしがちだということを知るだけでも重要なことだろう。
下巻では集団の意思決定、倫理に関する意思決定などのテーマも扱う。「1人で作業する時と比べて、集団作業では個々人の努力量が低下する」、だから「ちょうどいい人数」を見極めることが大事だとか、人は周りの人の行動に良くも悪くも影響されるので、多様な意見のメンバーを集めるのが有効だといった教育現場の実感が、研究からも示されている。
「差別する側の人間は『自分は客観的だ』と信じていて、差別していることに気づけない」。自分を過度に「客観的」だと思うべからず、という気付きをくれる書でもある。
(1980円 旬報社)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

