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特別支援学校生の人生を変えた運動指導 「苦手・ぎこちない」はスポーツ科学で改善できる

12面記事

書評

松山 直輝 著
専門知見生かし生徒の思い実現

 脳性まひ・軽度知的障害のある生徒がジョギングをできるようになり、軽度知的障害のある生徒が砲丸投げでインターハイを目指し、そんな先輩の姿に憧れた同様の障害のある生徒がやり投げ選手へと育っていく。
 当時、教諭として生徒の指導に当たった著者は、スポーツ科学の専門家。その知見を生かして指導上の困難を粘り強く解決し、生徒の思いを実現する様子が伝わる本書は、読む者に感動を与える。
 「知的障害のある生徒へのスポーツ指導」について「『難しいけれど可能だ』ととらえなおし」を期待する著者の言葉からは「『特別支援教育』×『スポーツ科学』の可能性」を強く感じることができる。
 例えば、自分に運動は「無理」と諦めていた生徒の課題を分析して、筋トレや往復走などを工夫し、個別最適な学びを創り出す。自分のフォームをメガネ型のウェアラブル端末で「見える化」し、心拍センサーを用いてペースの大切さを伝える。タイトルにある「人生を変えた」とは、4キロを完走できるようになった生徒が最後に教師に感謝の気持ちを伝えた際に口にした言葉だ。
 専門的知見を持つ指導者や指導時間の確保、ICT・IoT機器活用など、全ての特別支援学校で展開するためには課題もあろう。だが、そこに可能性があり、生徒の願いがあるならば、環境の整備を求めたい。生徒の未来に勇気を与えてくれる一冊だ。
(2420円 学事出版)
(矢)

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