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教師の責任と教職倫理

18面記事

書評

経年調査にみる教員文化の変容
久冨 善之・長谷川 裕・福島 裕敏 編著
教職観を巡る今日的動向も

 「日本の教員文化の『現在』」に迫る、490ページの大冊。経年調査による“教師の意識や変化”を報告するのが本書。編著者を中心に8人の教育社会学研究者(所属は大学)が、調査報告をまとめる。教育の困難さと可能性を追究しようとする内容でもある。
 本書は、2部構成。「10地域教師調査の結果と、そこに見る10年前調査からの変化」が第I部(全13章)。そして第II部が、「東日本大震災・被災地教師調査の結果分析」(全3章)である。
 紙幅の都合で“経年調査”の結果に目を向けたい。経年調査は(1)2004年に全国1013人の教師を対象に実施(2)2014年調査は、共通の質問項目・質問文で実施した。「教職観をめぐる時代的変化と、その今日的動向」から、“教師自身の教職観の変化”を知ることができる。
 また、457ページ以下の「結び」に注目しよう。(ア)教職についての肯定的アイデンティティの強まり(イ)教員のバーンアウト状況の若干の改善(ウ)教員が個別的対処を迫られる事態の強まり(エ)同僚間関係が醸し出す集合的な雰囲気の影響力の低下(オ)「献身的教師像」の根強さ(カ)諸困難の緩衝材としての教員文化の有効な機能発揮。
 最後に「教員文化」について、479ページ以下を読みたい。
(5940円 勁草書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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