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国語の授業で「深い学び」をどう実現していくか

12面記事

書評

国語授業の改革18
読み」の授業研究会 編
具体的な授業例により検討

 新教育課程のキーワードの一つになっている「深い学び」を、国語の授業でどう実現していったらいいのか。本書は「読み」の授業研究会の皆さんが理論と具体的な授業で、総力を挙げてこの課題に迫っている。
 読み研代表の阿部昇氏は本書の「はじめに」の中で、まず学校現場の戸惑いを次のように指摘する。
 <「深い学び」については、「深いの意味がわかりにくい」「何をもって深いと言えるのか基準が見えない」といった声をよく耳にします>
 さらに冒頭の阿部論文の結論は、「言葉による見方・考え方」に応えられるだけの国語科の教科内容を、体系的・系統的に再構築する必要がある―になってしまう。
 「深い学び」の基準が曖昧な現在、授業者はどうしたらいいのか。やはり具体的な授業で検討していくしかない。本書には、「深い学び」になっている具体的な授業が多数報告されている。
 その中でも「さみだれや大河を前に家二軒」(与謝蕪村)の1時間の読解授業(小6)の全授業記録が出色である。かつて参観したことがあるこの名句の中学校の授業よりも、評者には「深い学び」になっていると思った。学校現場は「深い学び」の具体例を積もう。
(2484円 学文社)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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