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ダイバーシティ時代の教育の原理 多様性と新たなるつながりの地平へ

15面記事

書評

藤田 由美子・谷田川 ルミ 編著
多様化した教育課題に迫る

 教師を目指す学生に教えねばならない内容は社会の変化とともに増加している。その重要な視点に「ジェンダー」と「ダイバーシティ」がある。こうした教育原理の学びを深めるテキストとして本書は企画刊行された。すなわち待望の使える書なのである。
 そこでお答え願いたい。カリキュラム・マネジメントとは? 日本における「子どもの貧困」とは? 児童相談所と学校、児童養護施設で育つ子どもの教育、児童虐待に対する学校と教職員の役割とは? 外国につながる子どものマイノリティ性と周辺性は? 多様な性を生きる子どもとは? 教師の多様な性、複合差別の課題とは? 直面している教育課題がこれでもかと列挙されている。
 こうした喫緊課題を教職課程の学生が切実感を持って学べているのかは甚だ疑問である。知識として教える教師はいても相互領域に踏み入れながら、実学としての「ジェンダー」と「ダイバーシティ」という視点で貫いた実践に直結した教育原理の使える書であり、類するものを私は他には思い付かない。
 13章で構成され、リフレクションし、発展課題もあり、お薦め図書等も章ごとに紹介されている。本来ならこの数倍の厚さになるところをあえてそぎ落とし、能動的な授業に導けるよう見事に工夫され、コンパクトに仕上げている。私は本書を講義に使いたい。
(2376円 学文社)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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