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梅根悟 その生涯としごと

14面記事

書評

中野 光 著
コアカリキュラムなど足跡たどる

 この評伝の上梓を心待ちしていた人は多い。評者もその一人である。著者は、梅根さんのまな弟子。今となっては、数少ない弟子である。そして、視覚障害者である現在、無理して書き上げたのが本書。敬服しつつ読んだ。
 梅根悟(1903~1980年)は、教育界に存在した“巨人”。教育者、教育学研究者、教育運動家として知られるその生涯。それを(1)子ども時代(2)小倉師範校、東京高師の学生時代(3)岡山師範教諭から東京文理大入学(4)茨城師範附属小主事、埼玉師範附属小主事、同教頭(5)県立本庄中学校長、市立川口中学校長(6)川口市助役、川口プラン推進(7)東京文理大助教授、東京教育大教授(8)和光大学学長(実験大学の創設)と、暦年を追いつつ実践と業績が著者によってまとめられる。この辺りは、教育史研究者の著者の手によるだけに、理解しやすく読ませる。そして、教育学研究者梅根悟が、各年代に著した論文の数々を紹介してくれる。コアカリキュラム、日本生活教育連盟のことなど、ぜひ知っておこう。
 梅根悟の「新教育への道」を評者が読んだのは学生の頃。「世界教育史」の大冊は、公立小教員の頃、毎晩読んだ。そして著者の「大正自由教育の研究」は、附属小教員の頃に、熟読した。活字の上で、評者は二人の教育学研究者に学ばせていただいた。読書の力は大きい。
(2376円 新評論)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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