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管理職のための学校経営R―PDCA

6面記事

書評

佐古 秀一 著
現状把握基に自主・自発性引き出す

 指導力や意欲が高い教員がそろい、みんなで頑張っているにもかかわらず、なぜか学校の課題が解決しない―。こんな話を全国各地で耳にする。
 本書は第I部で、学校という組織が「チームで」課題解決を図れない構造を丁寧に解説し、II部で学校改善に向けたビジョン形成などの具体策、III部で「元気な学校をつくる」方法などを示している。組織全体で課題解決できない原因が分かるだけでも、管理職は学校づくりの視点を得られると感じた。
 冒頭では、事例を挙げながら、日本の学校の特徴的な課題として、エースで乗り切るなど個人の力量に委ねてしまっていることなどを指摘。また、教員の仕事は、組織の中で当たり前のこと(決められたこと)を当たり前にしていただけでは全うできず、目の前の状況に応じて判断や選択を行うなど裁量が大きいことなども傾向として挙げた。
 著者は、裁量が大きく、自ら考え、判断し、実行する人間が多いと、組織のタテとヨコのつながりが弱まり、教職観なども自己完結型になり、結果として個人の経験や知識・スキルで対処する「個業型組織」となり、バラバラであることが日常化すると分析。「個業型組織」の最大の問題は、教員個人の力量を超えた問題に対応できなくなることとした。そこで、II部以降では、組織として、子どもの実態を的確につかみ、育てるべき子ども像を明確化し、教員が自主的・自発的に課題解決に向けた実践をしていく考え方や手順を提示していく。
 勤務校に内在するぼんやりとした課題や疑問が整理・言語化され、次の一歩を踏み出すのに役立つはずだ。
 発行は明治図書で定価は2000円(税別)。

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