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はじめての心理学概論 公認心理師への第一歩

22面記事

書評

古見 文一・小山内 秀和・樋口 洋子・津田 裕之 編
心の不思議、ユーモア交えて

 心理学は面白い。本当に心が自分をコントロールしているのか。自分自身や他人に興味を持つことは当然ではあるが、こうも精神を病んでいる方がいる時代になるとは想像もしなかった。振り返ると、小学校高学年女子の扱いに苦慮した。その時、「小学生の心理」を読んだことにより、心の動きがうっすらと見え、その後、学級崩壊した高学年を連続して持ち続けることになった。
 このところ親の犠牲になるのは小学校4年生が目に付く。自我が芽生え、反抗期を迎え、覚えたての言葉を10歳児が親にたたき付ける。親もこの時が来たかと捉えれば見過ごせるが、生意気だとなるとDVになる。この学びが親になる前にしっかりとされてこなかった結果とも思える。
 本書の魅力は、要点のコンパクト化と心理学ニュースである。疑問が羅列され、その後の対談が本音で笑える。この構成や著者のユーモアと人間関係の面白さが浮き上がる。大学講義でこれを使ったら、眠るような学生は出ないだろう。「悪を見抜く目」「高い地位は“悪い”人を作る!?」「世の中はデタラメであふれている」など心理学を知ると、こんなに世の中が面白く、人間関係が見えるようになる。と、言わんばかりの書きぶりである。まさに未知への遭遇だ。この本から心理学に入った学生は幸せである。虜になるぞ!
(2420円 ナカニシヤ出版)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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