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分断社会と若者の今

16面記事

書評

吉川 徹・狭間 諒多朗 編
データ基に多様な切り口で論ず

 まずタイトルが気になった。「分断」である。
 学生たちと近隣農園で雑草取りを行った。蚊にも刺されたが、一番の感想は「草取りをして、いろんな人と話せてよかった」という感想であった。何げない会話ができていない現実に驚いた。
 本書の構成は8章立て、

 ・現在志向から捉える現代の若者
 ・若者の従順さはどのようにして生み出されるのか
 ・若者はなぜ自民党を支持するのか
 ・若者の保守的態度は消費を抑制するのか
 ・若者の人生評価
 ・非大卒若者の大学離れ
 ・若者にとって自由な働き方とは何か
 ・性別役割分業意識の新局面

 ―まで、多様な切り口でデータを基に鋭く切り込んでいく。
 その切実感は、調査対象を20歳から39歳を範囲にしたからであろう。これまであやふやであった実態が浮き彫りにされたように思える。また、最近の若者はおとなしい。現状に満足しているのか。それなりの幸せ感を持っている。など覇気に乏しく感じるのは私だけではないだろう。そこで提案したいのは、本書を客観的に読むのではなく、ある意味、批判的に読むことである。すると課題意識が沸々と湧いてくる。
 世界で一番自殺する青年層を生み出している日本の現状には、明らかにこの「分断のエネルギー」が存在している。それは世界にも急速に蔓延している。本書の意義は大きい。
(2750円 大阪大学出版会)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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