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美術の授業のつくりかた

16面記事

書評

三澤 一実 編
鋳造、影絵など多彩な実践のヒント

 STEM教育(Science、Technology、Engineering、Mathematics)から、Artを加えたSTEAM教育が注目される中で、美術教育はどういう輝きを放っているだろうか。
 武蔵野美術大学の教職課程学生や現役の先生、中学校、小学校を巻き込んで展開しているプロジェクト「旅するムサビ」に取り組んできた編者が、教員や研究者らと共に、これからの授業の在り方を提案した。
 主体的な学びの実現など新しい学習指導要領の趣旨を踏まえながら、「美術教科の特徴と今日的課題」(第1章)、「授業の組み立てと学習指導」(第2章)、「教科経営」(第3章)の在り方を提示し、今後を展望する。
 「授業の組み立てと学習指導」では創造的な楽しい授業づくりの工夫や表現活動、鑑賞活動の例などを、「教科経営」では展示による学習環境の創造例などを、それぞれ示して、魅力的だ。全体のページ数の半分を占める「題材開発研究」(第4章)に「特別支援教育と美術」(第5章)でも多彩な実践を収録する。
 特に「題材開発研究」は、描きためたドローイングを基にしたアートブックづくり(平面)、鋳造制作(立体)、影絵を使った即興物語(映像表現)、小石で文字を書く(デザイン)など、受けてみたい授業実践のヒントにあふれる。理数同様、アートも重視される教育の出現に期待してしまう。
(3080円 武蔵野美術大学出版局)
(矢)

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