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次代の学びを創る知恵とワザ

13面記事

書評

奈須 正裕 著
新指導要領を血肉にする手だて説く

 書名が気に入って、本書を手にした。書名だけでない。内容がまた、今日的課題に応えているのだ。「次代の学びを創る」の「創る」は、創造、創始の創だ。各学校が、それぞれの学校らしい実践を創り出したい。「知恵」は、物事の筋道や理屈をよくわきまえ、判断・処理・思考などを的確にできる能力を指す。全教職員が知恵を働かせることが、学びを創るために必要。そして、「ワザ」とは、“わざ”“業”のことか。何かを巧みに作ったり行ったりするために習得する必要な技術・技能である。教師が身に付け発揮しなければ、実践は深化しない。
 新学習指導要領を、血肉にするにはどうしたらいいか。それを、本書は四つの章で説く。第1章は、「コンピテンシー・ベイスという思想」である。資質・能力を基盤に、ベーシックな事柄を整理した本書の“土台”の部分の章。続いて、「主体的・対話的で深い学びの実現」が第2章。“学び”という営みの本質に着目、深い学びの実現について論究する。第3章が、「資質・能力の育成と知識の質」で、「カリキュラムで発想する時代へ」が第4章となる。
 著者(上智大学教育学科教授)は、学習指導要領改訂の折、主要メンバーの一人であった人。それだけに、理論的に詳しく、実践的な面にも具体的に話が進む。今後に向けた授業づくりの道標となる一冊だ。
(2530円 ぎょうせい)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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