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理科の授業を形づくるもの

17面記事

書評

鳴川 哲也 著
教師目線で説く新指導要領の要点

 理科教育を担当する教科調査官が、自身の授業観、指導観に引き付けながら、新しい学習指導要領の要点について語った。「子どもに学ぶ」(第1章)から始まる、その構え方は多くの教師たちに共感を呼ぶだろう。同時に、もともと理科教育に内在し、新学習指導要領でも強調される「問題解決」と授業の関わりへとつないでいる展開の仕方も理解を促す。
 以下、自然に親しむ(第2章)、見方・考え方(第3章)、科学的(第4章)、資質・能力(第5章)、「私のなかの理科を形づくっているもの」から見える理科授業(第6章)、評価(第7章)と続き、新学習指導要領に取り組む際のキーワードを押さえた。
 特に「見方・考え方」である。類書を読んで「分かった」と思っても、説明する段になると手のひらからスルリと逃げていくような、心もとない理解に気付くようなことはないだろうか。本書では、教師に向かって伝える立場にある著者自身が植物などとの関わりから、「見方・考え方」がどう腑に落ちていったか理解する過程を、読者が共有できるような仕掛けになっている。他教科でも応用が利くのではないか。
 また、第1章から第5章までの各章は「○○と授業づくり」で締められ、では授業ではどうすればいいの、どう考えれば、といった現場の悩みに答えるものになっている。
 授業者には、お勧めの一冊である。
(1980円 東洋館出版社)
(矢)

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