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教師のいらない授業のつくり方

16面記事

書評

若松 俊介 著
「主体的学び」へ教師の役割を説く

 子どもたちは先生から質問されることに慣れている。それは、「質問がなければ考えなくてもよい」ことを学ぶことにつながる。第2章「『教師のいらない授業』のつくり方」「『問い』は学びのエンジン」にある一節である。
 著者は「どうすれば、子どもたち一人ひとりが生きる授業ができるのだろう」と考え続ける現職の教師である。「教師のいらない授業」とは、時代が急変していく中で「本当に教師に必要な役割」「これからの時代を生きる子どもたちにつけるべき力」を問う著者が考える、より良い教育の在り方の一つである。学習がひとごとになっていては、永遠に「先生」という存在が必要になる、正解のない時代に生きる子どもたちにとって、それでいいのだろうかと読者に問い掛ける。
 第3章「『教師のいらない授業』実況中継!」では、子どもたちの「問い」で展開される授業がつづられている。そこには、著者が求める「子どもたちが活躍する学習場面」となるような教師の意図や仕掛けがあり、興味深い。
 子どもたちの1年間の学びで構成される第4章セクション1には、「結局大事なことは全て子どもたちが持っている」とする著者の思いが、子どもの言葉を通して心に響く。
 「教師の役割とは何か」、本書を手にし立ち止まって考えたいものである。
(1980円 明治図書出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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