日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

クレイス叢書「深い学び」の科学 精緻化、メタ認知、主体的な学び

14面記事

書評

北尾 倫彦 著
実際の授業場面に即して解説

 著者は、ここ数年の新学習指導要領に関する実践的研究に強い危機感を感じているという。多くの授業研究会等では「精緻化」「メタ認知」などの用語が飛び交っているが、例えば、「この授業でメタ認知が問題になるのはどこですか」と素朴な質問をしても、答えることができる実践者は皆無であると嘆く。しかし、今回の改訂で重要なキーワードは「精緻化」「メタ認知」「主体的な学び」と鋭く指摘し、授業の実際の場面で、「どのような学びが『精緻化』であり、『メタ認知』であるかを、科学的知見、手法で明らかにする」ことが本書の目的であると述べている。子どもたちの「学びを深める」ためには、実践者は科学的エビデンスに基づく理論的方略を持たなければならないと、厳しく求めている。
 本書は全8章と補章からなるが、その内容は、巻末の「附表―深い学びの観点、方略、具体策」に、全ての内容が、「学びの観点」「学びの方略・意欲・意識」「学びを深くする方略の類型、情意の特徴」「本書での論述の展開」の項目ごとにコンパクトに整理されている。この附表は、今後、新学習指導要領の改訂の趣旨を的確に捉えた授業改善を進めたいと真剣に考えている学校や教員には、大きな武器となることは間違いない。
 学習指導要領は子どもたちの学びを深めるためにこそあることを、私たちは肝に銘じたい。
(1980円 図書文化社)
(新藤 久典・文部科学省学校業務改善アドバイザー)

書評

連載