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AIに負けない子育て ことばは子どもの未来を拓く

15面記事

書評

内田 伸子 著
発達心理学の第一人者が助言

 「負けない」とは何か。負けてばかりいた自分には魅力的なタイトルであった。負けない子どもを育てたいために親は強制的にさまざまなしつけや習い事をさせるが、期待通りになることはない。かえって反発や不登校の要因になっているのではないだろうか。それが分かっていてなぜ、愚かにも繰り返すのであろうか。私もそうしてしまった一人である。
 著者は、あのベネッセの「しまじろうパペット」を考案したり、NHK「おかあさんといっしょ」の番組開発に携わった人物。科学的理論、発達心理学の第一人者からの究極のメッセージとなっている。実際の相談内容を、終章を含め7章61項に仕上げている。図や表そして「○○さんのご相談」「ノブコ先生からのアドバイス」コーナーなど豊富な資料も示されている。
 また、青年期に至るまでの関わりにおいて外せない内容が網羅されているため、対象を就学前に限るのは、あまりにもったいない。
 中でも第5章の「非認知スキル」から読まれることをお勧めしたい。個性、想像力、メタ認知、批判的思考力、非認知スキルを具体的にどのように認め、励ますか。とかく私どもは知らぬ間に決め付けてしまい、ピュアな目線で見ることができにくくなる。本書は、その固定概念を見事に砕いてくれる。人のためになら、自己を変容させることができるものである。
(1980円 ジアース教育新社)
(大久保 俊輝・亜細亜大学特任教授)

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