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学びを選ぶ時代 子どもが個性を輝かせるために親ができること

13面記事

書評

東京都フリースクール等ネットワーク 著
多様な学びの場の活動や進路紹介

 著者名を見てちょっと驚いたが、著者の団体が今日までやってこられた実績を思うと、至極当然の書名だと納得する。子どもたちに多様な選択肢を広げ、これからの時代に必要な自己決定力、創造力、違いを尊重し合う力を培うといった団体の方針を現在の社会状況に照らして解説しているのが本書なのだ。
 特に、第3章では多様な学びの場として五つのフリースクール等が紹介される。いずれも実際の活動状況が図表や写真で示されるとともに、そこで学んだ人たちの体験が具体的に語られる。加えて、一番懸念されるであろう進路、就職等将来に関しても触れられ安心させられる。文字通り、学びを選ぶ時代になっていることを実感した。
 このことは、法的にも後押しされるようになった。ご存じのことと思うが、教育機会確保法の成立(平成28年)である。本書では第4章でその経緯とともに法の意義、活用についてのQ&Aが分かりやすく説明されているので利便性も高い。
 本書は副題に「親ができること」との文言がある。読者対象が保護者に想定されているのだろうが、学校教員も一読の必要がある。学校教育への耳の痛い指摘もあるが、裏を返せば、改善の視点につながろう。子どもたちの自己肯定感を高めていくのは、フリースクールの専売特許ではないはずだ。
(1650円 プチ・レトル)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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