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「いじめに対応できる学校」づくり

14面記事

書評

法令だけではわからない子どもを守る実務ノウハウ
藤川 大祐 著
現場目線で分かりやすく解説

 本書の特徴は、何といっても学校現場を知り尽くし、第三者委員会の経験も有する研究者が執筆に当たっているという点であろう。つまり、学校目線で書かれているのだ。以下、本書の特徴を生かす分かりやすい解説の理由を3点挙げてみよう。
 第一は本書の構成(基本編と実践編)の一つ、基本編で触れる「いじめ防止対策推進法」についての解説だ。法令そのものの実践に沿った解説のみならず、いじめを生じさせない学校運営の在り方等、実際の現場感覚に基づく視点で書かれている。必読のページだ。
 第二は実践編の目次の工夫だ。20もの事例が取り上げられているが、全てが具体例(例えば、

 (1) 携帯電話の持ち込みについて
 (2) 子ども同士のけんかでけがをしたが、いじめでは
 (3) いじめで転校を考えている子に、どう対処すれば

 ―等)で示している。どこからでも読めるし、類似例も検索できる。
 第三は表現上の工夫だ。ゴシック体、下線、囲み記事で重要事項を目立たせるだけでなく、要点を把握しやすいように箇条書き等を多用している。思いの外、読みやすい。
 驚いたことがある。何と、今後の法改正に向け検討が必要な点についても言及していることだ。実際に法令に基づき学校運営をしてきた著者ならではの貴重な提言だ。こんなところにも学校目線が生きているように思われ、うれしくなった。
(2200円 ぎょうせい)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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