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教育の原理 ミネルヴァ教職専門シリーズ(1)

14面記事

書評

深谷 潤・広岡 義之 編著
平易な文章、理解深める工夫

 本書に類する書籍は多数出版されている。事実、評者も同名の書を何冊も所持している。教員を目指す者にとっては必須の、免許法に定める「教職に関する科目」の一つに当たるからだ。当然のことながら内容は他書とさほど変わらない。
 それなら、なぜ当欄で取り上げる必要があるのかと問われそうだ。それがあるのだ。編著者の前書きに気になる言葉があったのだ。「平易な文章でコンパクトに」である。
 読み進めてその意味が理解できた。本来は取り付きにくい内容でありながら「例えば~」と具体的事例を示したり、「つまり~」と一口にまとめたりしている。必要な注釈はそのページの下段に載せている。入門書としては至れり尽くせりの構成となっている。
 それだけではない特徴を二つ示そう。一つ目は、各章の編集方針だ。章の概要を冒頭に載せ、あらましを把握させる。章末には学習課題と称して振り返る視点を示す。学びのコツがつかめるだろう。二つ目は参考文献だ。最新資料がかなり多い。2020年版まで載っている。つまりは、「最も新しい教育原理の書」になっているといえよう。
 本書は、大学で教育学を学ぶ初学者向けに書かれたテキストとして用いられるのだろうが、教養の書としてもお薦めできる好著、とまとめられよう。
(2640円 ミネルヴァ書房)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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