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地名で語る「日本の歴史」授業

14面記事

書評

高橋 茂樹 著
楽しみながら大きな流れを理解

 街中を歩き、ふと見た地名表示を「どう読むのだろう」「不思議な地名だな」と思われた経験を持つ方は結構多いのではないか。その地域の歴史や文化が関わるなど地名にまつわる由来を知ると面白さを感じる。大人でもそうなのだから、子どもたちに紹介すれば、興味・関心がぐっと高まるだろう。そして人々が暮らしてきた証しに心が寄せられるのではないだろうか。
 著者は中学校の社会科で教壇に立ってきた。さぞかし子どもたちに歴史を学ぶ楽しさを伝えられてきただろう。実際、本書を読めば、まるで著者の授業を受けているような感覚がする。それほど親しみやすい文体なのだ。
 本書は時代ごとに章立てされているが、関心を抱いたところを摘読することも可能。地名の説明だけではなく、その時代にどんなことがあったのかという解説もあり歴史の大きな流れを理解しながら楽しめる。豆知識としてコンパクトに1ページに解説しているのも読みやすさにつながっている。むしろ、これだけ充実した内容が1ページに収められたことに敬服。
 本の帯のキャッチコピー「日本各地の地名から歴史の醍醐味を味わう1冊」は見事に本書を表現している。
 まさに歴史の面白さが学べる一冊。本書を読むと、自分が暮らす地域のことを、もっと知りたくなる。そして、日本という国をいとおしく感じてくる。魅力あふれる一冊だ。
(1980円 黎明書房)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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