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技術・家庭科ものづくり大全 その教育理念と授業実践

14面記事

書評

産業教育研究連盟 編
各領域の優れた実践を網羅

 650ページを超える大部の著である。
 「技術教育・家庭科教育の課題」を第I部に、技術・家庭科教育の変容と課題や、総合技術教育の視点からの捉え直し、民間教育団体として教科の振興を支えた産業教育研究連盟の活動や歴史を、三つの章に収める。
 第II部は「教材と授業実践」。同連盟発行の月刊誌「技術教育」「技術教室」に掲載した授業を木材加工、金属加工、機械、電気、情報、栽培、食物、被服などの領域に分類して紹介。発想も含め、共有したい実践である。
 「技術・家庭科教育の特徴は、その複雑な改訂の歴史にあり、それらは多くの問題を含んでいる」。新制中学校発足時には「職業」という教科名で出現した「技術・家庭科」は、男女共修となる以前、「男子向き」「女子向き」の領域設定、「男女共学」の1領域乗り入れ履修などと推移してきた。
 時代の要請に従い、課せられてきた学習内容を存分に指導する環境が整えられてくれば、例えばキャリア教育やプログラミング教育などの今日的課題は、また違った展開を見せていたかもしれない。
 「黄金期」の週3時間から減じ続けた授業時数によって、実習の困難さは増した。「科学技術立国」を目指す中で、「技術」の阻害が理科離れにつながったと本書は指摘する。これ以外にも知識を応用する力、ものづくり力の衰退につながっていると分析するのは、うがち過ぎだろうか。
(3300円 合同出版)
(矢)

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