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お母さんが知らない 伸びる子の意外な行動

14面記事

書評

齋藤 浩 著
悩める保護者や教員の背中押す

 教師という仕事をしていると、保護者から子育てに関する不安や悩み事の数多くの相談を受ける。どれも保護者にとっては切実で、それに対し的確な返答ができただろうかと悔やまれることも。その時に本書に出合っていたら、保護者の心をもっと軽くできただろうなと思う。本書は、わが子を前に悩まれたり自信をなくしかけたりされている保護者の背中を「それでいいですよ」とポンと押してくれるような心地よい存在だ。
 子育てに不安はつきもの。時として誰かに頼りたくなる。何が正解なのか分からなくなることも。でも著者の「愛と真心を注いで育てた方法がそうそう間違っているはずはない」という力強い言葉に勇気付けられる。他にも心に響く言葉とたくさん出合える。「子どもは信じてもらえれば、その期待に応えようとするものだから」もそう。
 5章それぞれのタイトルが既に名言だ。例えば「その行動、主体性がある証拠です」や「その行動、チャレンジ精神がある証拠です」など。どの章にも具体的な子どもの姿が5事例紹介されている。保護者だけではなく、学校現場で子どもたちと日々向き合い悩む先生方にもお薦めの一冊だ。
 正解のない子育てだが、未来をたくましく生きていく子どもたちのユニークな姿に元気をもらっている幸せを感じた。みんないい線いっている。そう思えた。
(1540円 草思社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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