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新たな時代における自立活動の創成と展開

12面記事

書評

個別の指導計画システムの構築を通して
安藤 隆男 著
計画作成から授業への流れなど解説

 障害の重度化、重複化に対応して昭和46年4月施行(小学部)の「特殊教育諸学校学習指導要領」で新設された「養護・訓練」は、主体的な学びの要素も加わり、平成11年3月告示の盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部の学習指導要領で「自立活動」へと改められた。
 平成29年3月告示の小学校学習指導要領の総則では特別支援学級で実施する特別の教育課程の編成に触れ、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領に示す「自立活動」を取り入れることが盛り込まれた。特別支援学校のみならず、小・中学校などでも、個に応じた指導の展開などが課題となった。
 本書は養護・訓練、自立活動誕生に至る経緯を丁寧に整理し、自立活動を展開する上での個別の指導計画作成から授業とのつながりなどをIII部、全12章で解説した。
 例えば、複数の教師が関わり児童・生徒の実態を把握していく仕組みや、課題を抽出し、指導目標・指導内容を設定する「個別の指導計画システム」から「授業システム」へと至る流れと、個々の場面の取り組み方を具体的に示しているのは、経験にばらつきのある指導教員という現実にも対応でき、参考になる。
 自立活動の内容には「心理的な安定」や「コミュニケーション」などもあり、障害の有無にかかわらず、児童・生徒の自立を見取る要素と捉えれば、多くの教員が理解を深めたい教育課題となろう。
(3080円 教育出版)
(矢)

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