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教師のための教育学シリーズ8 道徳教育論

14面記事

書評

齋藤 嘉則 編著
評価、いじめ問題での役割など解説

 本書は、全15章構成で道徳教育を学ぶガイドブック的役割を担う。各章の初めに「本章のねらい」が簡潔に示されているので理解が進む。特筆すべきは、「考えてみよう」の欄を設定し読者に自身の考えを構築できるような問題提示があること。例えば、「道徳の内容項目は各教科とどのように違うのかその性格を押さえよう」「発達に影響を与える要因にはどのようなものが考えられるか」といった具合。編著者の言葉にあるように「額に汗して考え抜く」ことは、自分の考えを創り出すことにつながる。
 そして、第1章の主題「道徳とは何か、道徳教育とは何か」から始まり、道徳教育の歩み、教育課程上の位置付けへと系統的に学べる。多様な指導方法、道徳科の評価等、具体的な内容も記載。現代の課題でもある学校、家庭、地域社会との協働や連携についての実践紹介も。また、いじめの発生と深刻化のメカニズムに関する理論や道徳教育が担う役割を述べた章もあり、大変勉強になる。他にも、外国の道徳教育の事情について触れた章もあり興味深い。ここでは3カ国に絞られていたが、日本と比較して相違点を探ることができる。
 読後は、子どもたちと共に大人も悩みながら、よりよい生き方や社会を創る一員として、まさに「額に汗して考え抜き」実行していかねばと考えさせられた。
(2530円 学文社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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