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国際バカロレア教育と学校図書館 探究学習を支援する

18面記事

書評

アンソニー・ティルク 著
根本 彰 監訳
中田 彩・松田 ユリ子 訳
公立校の「探究」充実にもヒント

 本書は、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)が推進する探究色の強いカリキュラムを、学校図書館がどう支援するのか、支援のために何が必要かを論考した。
 日本のインターナショナルスクールを対象に著者自身がまとめた研究や、他の研究者らの知見も踏まえながら、管理職、教員、図書館員、学校図書館の役割などを考えていく。それぞれの章末には実務に役立つよう「図書館員のための実践的戦略」を示した。
 学習指導要領とも親和性があり、教育課程を補完することで、国内でも国際バカロレア認定校となることができ、「2022年度までに200校以上にすることを目標」(「成長戦略2021」令和3年6月閣議決定)に定める。日本での認定校数等は候補校を含めて175校(文科省調べ、令和3年12月31日現在)あるものの、DP認定校は58校である。
 例えば、DPの特色の一つ「課題論文」の章では参照、引用の仕方、剽窃に注意を喚起し、タイトル、抄録の作り方などを取り上げた。IB校だけでなく、公立校にも参考になる。探究的学習に不可欠だが、生徒に不足する「研究方法の知識と経験」をどう補うか、本書から学べることは多い。
 公立校でも情報リテラシーや、探究とリサーチなどを含め研究にいざなう方法を学ぶ時間の確保は課題だが、カリキュラム・マネジメントを活用し、実現する道を探りたい。
(2420円 学文社)
(矢)

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