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失敗から学ぶ これからの教師のための思考法

16面記事

書評

石井 英真 監修
宍戸 寛昌・長瀬 拓也 編著
豊田 哲雄・樋口 綾香・樋口 万太郎・松井 恵子・丸岡 慎弥 著
24事例を丁寧に分析、成長の糸口に

 「私、失敗しないので」が決めぜりふの天才外科医のテレビドラマが話題になった。外科手術の失敗は許されないが、教育実践においてはどうであろうか。本書では、「失敗こそ、成長への糸口になる」と記す。
 本書の素晴らしさは、失敗をポジティブに次に生かすために、「失敗のハインリッヒの法則」をはじめ、科学的に事例を分析し応用する思考法を取り入れている点にあると思う。
 第1章理論編と第6章解説編、そして「授業づくり」「学級づくり」「保護者対応・生徒指導」「働き方・校務分掌」の事例を全部で24取り上げている。
 それぞれ、「失敗事例の内容・Before(自分の内面、職場・学級の雰囲気等)・After(振り返り、同僚のフォロー、出合った言葉等)・失敗の本質(失敗原因の分類、失敗から学んだこと)・その後…」の順に記されている。
 どれも学校で起こっていそうな事例である。丁寧に振り返りや分析がなされており、読み応えがある。
 「働き方の失敗」なども今読んでおきたい内容だ。「休職後、自分がいなくても機能している学校を見たとき…」。続きは本書を読んでほしい。
 執筆者は、現在第一線で活躍されている教育実践者ばかりである。教師としての成長の在り方を考えるための一冊。
(2310円 東洋館出版社)
(谷 智子・高知大学客員教授)

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