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DXの思考法 日本経済復活への最強戦略

14面記事

書評

西山 圭太 著
冨山 和彦 解説
変容する時代に必要な力の再考迫る

 昨年発行され話題に上った本書。帯紙には「DXの真髄を見事に解き明かした。これからのビジネス、社会を考える必読書」とあり、経済・産業構造に関わる書だが、教育にも大いに関係してくる。読み進めるうちに、濃厚な内容やその新鮮な思考法にはまってしまった。
 プラットフォーマー、アーキテクチャなどの語が多用され、ITに疎い評者には難解だったが、そういうことの理解が大事なのではない。大事なことはデジタル化時代に必要な思考法だ。経済界だけの話ではなく教育界も同様。もちろん、DX(デジタルトランスフォーメーション)による働き方改革の推進も重要だが、もっと俯瞰的な考え方が必要だと思える。何より、子どもたちはいや応なしに産業構造(I)、会社(C)、さらに社会(S)、個人の生き方(L)の変容(X)に直面する時代を生きていく。その子どもたちに必要な力は何かと改めて考えたい。難しいことばかりではない。「野球よりサッカー」「ミルフィーユ構造」「抽象化の例はカレー粉」と、本質を理解できるよう工夫し解説している。
 さて、読み終えた時、あなたはどんな言葉を発するだろう。本書から受けた刺激や知識を教育や自身にどう生かすか問われている感覚を覚えた。世界の動きや日本に立ちはだかる課題、今後の展望について考えを広げていくことも大事だと教えられた。面白くて魅力的な一冊。
(1650円 文藝春秋)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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