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一刀両断 実践者の視点から【第167回】

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論説・コラム

不登校の兆候に気付くためには

 不登校問題に関して検討してきた有識者会議の報告を受け、文科省は、不登校の兆候が見られる児童・生徒を対象に、「校内で安心して心を落ち着ける場所」の設置について検討するよう求めたという。そうした事は昔から指摘されている。これが出来ない理由は簡単である。
 変化を感じ取ることや、対処する術すなわち、感性を磨く事を養成段階では教わってはいないし、教えられる教師もいないし、講座もない。学問優先の現状での対応は困難になるのが当たり前である。
 教員採用後、すぐに学級担任になると、不登校気味の子どもの微妙な変化に気づく余裕などはない。このシステムや環境を改善する事が本質である。
 ここに視点を置かない専門家の話し合いは、お茶を濁して学校現場をさらに多忙にする事になるのではないだろうか。ちなみにこうした専門家の話し合いで、現場がよりよく改善されたという記憶が私にはない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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