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生活・総合 資質・能力の育成と学習評価

18面記事

書評

田村 学 編著
柴胡の会 著
明確な「規準」基にした授業づくり

 「子供の見取り」を中心に評価する生活科や総合的な学習の時間。活動はあっても、つい曖昧な評価になってしまうと悩んでいる授業者は少なくないのではないだろうか。
 本書は、曖昧で分かりにくさを伴う評価規準を具体的に言語化し、目指す姿を明確化する方法を知りたい教師には必見。「主体的に学習に取り組む態度」を言語化するに当たり、本書の実践者たちが、「誠実性」「外向性」などの性格特性5因子をよりどころとした試みは興味深い。
 「学習評価を柱とした授業づくり」について議論し、「学習評価の視点から授業を変える」ことに挑戦した実践者たちは、「子供の見取り」の精度が上がり、着実に授業改善に結び付いているという。
 「子供を見取る」とはどういうことか、資質・能力を高めた子どもの姿とは何か。第3章の実践事例にある評価規準、学習活動、知識の構造化、実践者が語る評価規準の明確化の効果などに多くのヒントがある。
 第1章「資質・能力を明確にする知識の構造化」は、その理論が子どもの姿を通して理解できるよう構成されている。生活科、「総合的な学習」のみならず、各教科・科目等において「子供のためによい授業をしたい」と願い、資質・能力の育成に取り組む授業者の参考になるに違いない。
(2200円 東洋館出版社)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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