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チームで解決!理不尽な保護者トラブル対応術

18面記事

書評

岩下 修 著
図解・事例加えロングセラー充実

 保護者対応への負担の割合が、文科省の「学校現場における教職員の業務実態調査」や日本若者協議会の「教員志望の学生向けアンケート」で上位を占めている。
 多くの教育委員会で対応マニュアルを出している。それには「傾聴の大切さ」を述べるものが多い。また、平成22年には埼玉県で教員が保護者を名誉毀損で訴える事案が発生したが、裁判官は「話し合いで解決するのが望ましい」と言った。
 だが、実際に多くの教員が傾聴に徹し、話し合いでの解決を模索しているが、それでは済まないレベルの保護者は実在する。これ以上、理不尽なクレームで教職を去る仲間が出ないようにとの思いから本書は生まれた。
 著者は現役の小学校教諭で、自身や同僚の経験に基づき対応術を記している。内容は「ひとりで解決!」「チームで解決!」の2編に分かれている。
 「ひとりで解決!」ではクレーマーのタイプを類別・分析し、その中で教師個人としてできる可能性を提起している。初期対応のマニュアルとして有効だ。「チームで解決!」ではケース別に校内での役割分担とシナリオを記している。こちらは第2段階以降のマニュアルとして参考になる。
 本書は「従来の対応策は効果を上げているのか」という疑問から、徹底的な教師目線で書かれている。現職の教員や教育関係者に読んでほしい。
(各1980円 学事出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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