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イラスト図解 AさせたいならBと言え 子どもが動く指示の言葉

18面記事

書評

齋藤 浩 著
徹底した教師目線の「マニュアル」

 「もう少し詳しく話してみよう」。教室の中でこのような言葉が聞かれないだろうか。子どもたちは、どうにか考えようとする。しかし、これで考え方が身に付くのか。「もう少し」とは、どのくらいか。どうすれば「詳しく」なるのか。曖昧な発問や指示は、子どもたちを混乱させる。そこで、参考にしたいのが本書。インパクトあるタイトルの本書は、三十数年前に刊行されたのだが、今も多くの教員が求めてやまない書である。今回、新たに分かりやすくイラスト図解され、事例も増加された。
 著者は「発問・指示によって、子どもの知的活動は変わる」という。では、どんな発問にすればいいのか。本書では、子どもと教師双方に「知」を発生させるための原理原則を活用。子どもだけではなく、知的な言葉の使い手になる教師にも「知」が発生する点が大事。
 Aという状況をつくりたいなら、知的に動かすためBという発問や指示をする。Bには「物・人・場所・数・音・色」の六つを踏まえると考えやすいという。誰にとってもイメージしやすく、全員に伝わることが大切。例えば、A「音読を上達させたい」→B「気をつけたい言葉五つを○で囲む」と指示。これだけでも、ぐんと音読が上達するそうだ。
 子どもの心を動かす言葉の事例は豊富。本書からヒントを得て、子どもたち一人一人に知の花を咲かせたい。
(2310円 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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