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先生のための塩対応の技術

16面記事

書評

峯岸 久枝 著
やりすぎず「いいあんばい」に

 あなたがもし「先生にだけ相談したいことがある」と保護者に言われたらどうだろう。これは、本書に記載のある事例である。教師であれば、「信頼してくれているのだから何とか力にならなければ」と思ってしまうのではないだろうか。学校の対応や教師の対応について何かと批判されることが多い今、「塩対応」という言葉がなんとも挑戦的である。
 著者は、教育とは全く関係のない企業で会社員をする中、学校教育全般に疑問を持ち、教員免許取得後に転職した現役の教員である。生徒のためには「私が何とかしてあげないといけない」と強い思いを持っていた著者が、なぜ「塩対応」が必要と感じているのか。序章の中にある「どっぷりの対応(やりすぎ対応)は教師の主観が入りすぎて逆効果になってしまうことがある」に納得する。
 第1章生徒編、第2章保護者編など4章にわたり24の事例が掲載されている。一つの事例につき見開きで4ページ。相手や場面、困っている事例、やりすぎ対応の例、背景にある考え方、本質的な問い、塩対応の例や考え方・技術などが一読できる紙面構成で分かりやすい。
 著者は、あの対応は正しかったのだろうか、どうするのが最適なのかと考え、「塩対応」を完全にマスターしたわけではないという。本書を手掛かりに自身の対応について見直してはいかがだろうか。
(1980円 学事出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室主任)

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