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論点・ジェンダー史学

14面記事

書評

山口 みどり・弓削 尚子・後藤 絵美・長 志珠絵・石川 照子 編著
自己の意識と向き合う視座に

 世界経済フォーラムが2022年7月に発表した日本のジェンダー・ギャップ指数は、先進国の中で最低レベル。これは各国における男女格差を測るものであるが、先進国のみならずアジア諸国の中でも韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果であった。
 評者が「ジェンダー」という言葉を知ったのは、1990年代。本書によれば、日本でのジェンダー概念は1980年代末ごろから学術研究に取り入れられるようになり、その成果を生んだのは1990年代以降とあるので、評者が知ることとなったのも、その成果の一環であったのだろう。
 本書は、従来歴史学の対象と考えられていなかった事象が研究対象となっているジェンダー史学をまとめたもの。前近代から現代までの6章構成で、わが国のみならず世界各国のその時代における史実をテーマとし、史実・背景の<概要><当時の論点><探究のポイント>が見開き2ページに収められている。内容も歴史学だけでなく、文学、人類学、経済学、地域研究、芸術論など多岐にわたり、セクシュアリティーについての考え方は、宗教や文化からの影響が色濃く反映され、時代や地域の違いがあることが理解できる。
 ジェンダーについて考えることは、自分の意識に向き合い、日常生活と政治・経済とつなげて考えることという編者。そのための視座が本書には多くある。
(3520円 ミネルヴァ書房)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室主任)

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