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一刀両断 実践者の視点から【第376回】

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大学は統合より授業改革を

 中央教育審議会で、少子化に伴う大学の統廃合について検討するという。大学生が半分になれば単純に考えて今のような規模の教授陣も不要になる。さらにその授業の質や成果も問われる事になるだろうから、これまでのような学生が聞いていようがいまいが関係ないような講義は自ずと自然淘汰されていく事になる。
 大学教授の授業は講義であって研究成果を伝えるものでよいとしている上層部が依然として君臨しているように思われる。「やってみせ」となると、そのレベルが心許ないからであろう。
 研究という分野に向いている教授すなわち、授業はあまり得意ではないが専門性は高いとしている面々がいる。ある高校教師が自ら退職して実験のパフォーマンスを生業にしたいと新たな道を踏み出したノンフィクションの映像が思い出された。
 感謝の言葉を伝える高校生が先生は辞めた方が良かったですよねと、失礼な言葉を発したが、当人も学生も笑っていた。すなわち教師よりも研究者に向いていたのである。
 さて、大学生が半数になる時どんな大学が残るのだろうか。ある情報通は「それは一貫校ですよね」と、明言した。そうなると大学だけとか女子大とかはかなり厳しくなる事になるだろう。統合して生き残りを掛けることも大切ではあるが、それよりも日々の授業改革をして学生の力を引き出すと言う気概を先ずは養うべきではないだろうか。
 日本の大学生はバイトばかりで一番大切な時期を失っているし、あまり成果の出ない教育内容をやりながら、大学授業とは言えない授業を私はよく見かける。自戒しつつ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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