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Q&A新生徒指導提要で読み解く これからの児童生徒の発達支持

17面記事

書評

八並 光俊・石隈 利紀 編著
明確な根拠示し簡潔に解説

 昨年12月、文科省から「生徒指導提要」の改訂版が12年ぶりに刊行。本書は、旧版との違いをはじめ、現代そして未来を生きる子どもたちに必要な生徒指導とは何かを学べる。Q&A形式でポイントを絞って簡潔に解説しているので目的に応じ摘読できるが、今求められている生徒指導の理念を理解するためにも序章「児童生徒の発達を支持し未来を拓く生徒指導を」は初めに熟読したい。
 改訂版では2軸3類4層から成る重層的な支援構造が示された点に注目するが、この観点からの取り組みについて本書は手厚く解説してあり、なぜその取り組みや対応が必要なのか明確な根拠が示され理解しやすい。子どもたちの個性の発見、よさや可能性の伸長を支える生徒指導へシフトチェンジを図ること、生徒指導の最終ゴールはキャリア実現を図ることを念頭に生徒指導提要と本書を併せて読み解き実践に結び付けたい。
 著者は、「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」座長を務めた八並氏と学校心理学の第一人者・石隈氏。改訂を進めるに当たり12年前と明らかに違った様相を見せる現状から並々ならぬ思いを抱かれただろう。簡潔に解説された文から願いや期待が感じ取れる。本書の助けを借りて生徒指導の本質をいま一度熟考したい。子どもたちの未来が明るいものになるよう心の通う教育を展開する一助に本書が果たす役割は大きい。
(2970円 ぎょうせい)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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