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一刀両断 実践者の視点から【第380回】

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論説・コラム

授業力を高めるには

 義務教育にはいわゆる指導訪問があって、先生方の授業を参観し指導をする。また、管理訪問は施設管理や帳簿などの点検をする。こうした事により指導の質やスキルを高め不正処理のないように努めている。
 校内授業研究と称してお互いの授業を参観して指導者から手厳しい指導を受ける機会があり、その中で曖昧な指導姿勢が指摘されて真剣さが増していった経験が私にもある。鍛えられてプロになっていったのである。
 誰しも厳しい指摘は出来るなら避けたいが、指摘されないと授業力は高まらない事は分かっている。こうした鍛錬がされていない校種が高校と大学である。
 理由は定かではないがそうした文化が定着している。唯一私が高校の研修に呼ばれた事があった前代未聞の事であったが、容赦なく質問を投げかけた。
 専門ぶっているメッキが剥がれて赤面する姿が次々に現れた。足りなさを知った教師たちはそれを理解して玄関まで全員で見送ってくれた。私立の中高で授業を見合う事は皆無に近いと聞く。磨き合うことを実際の授業ではしておらず、そうした研修がほとんど存在しないようである。
 それは大学の授業と同じく、いわゆる授業力は問われないという。伝える力、考えさせる力などの仕掛け方は鍛錬されないという事実である。その意味では恥をかかないのだから、自力で授業力のプロは育たない事になりはしないか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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