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13歳から考えるまちづくり

20面記事

書評

岡田 知弘 監修
住民主体で課題解決図る事例紹介

 地域課題に住民自身が向き合い、解決していく「まちづくり」の好事例に焦点を当てている。事例を通して「地方自治」の在り方への理解を深め、子どもたちに”自分ごと”として地域を見つめてほしいとの願いを込める。
 「防災・環境」や「少子高齢化」「地域経済」という課題に対して向き合った「まちづくり」を、3部構成で展開した。それぞれの課題について概括的な解説をしつつ、紙幅の多くを占めるのは、17の地域での活動事例である。
 例えば、環境分野は天然記念物のコウノトリが絶滅した後、人工飼育を始め、繁殖に成功し、野生に返す過程で田んぼの生き物環境を整えることで環境、経済、観光の活性化につなげた兵庫県豊岡市。少子高齢化では、独自の子育て支援を展開して当時の日本の合計特殊出生率(1・42)に対して2・81を達成したことを発表して以来、注目を集めた岡山県奈義町などの好事例を知ることができる。
 教育関連では離島の高校であることを逆手に「隠岐島前高校」のプロジェクトを生んだ島根県海士町、過疎の町で「森のようちえん」を始めた鳥取県智頭町、市民の力で誕生し、運営も支える図書館づくりを実現した佐賀県伊万里市などの事例に触れることができる。
 どんな活動にも「少子高齢化」という条件は付いて回る。この重い課題を子どもたちと一緒に考えることのできる一冊である。
(1760円 かもがわ出版)
(矢)

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