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基礎から身につく「大人の教養」 NHK調査でわかった日本語のいま 変わる日本語、それでも変わらない日本語

15面記事

書評

塩田 雄大 著
多様で奥深い言葉の面白さ

 日本語は、時代とともに変化する。新しく生まれてくる言葉もあれば、使われなくなって廃れていくものもある。話し言葉もあれば、書き言葉もあり、TPOによって使い分けが求められたりもする。
 まさに日本語は生き物であり、それを自由自在に操ることは実に難しい。しかし、それがかなえば、自分が一段と成長し、日本語の新しい景色を見ることができそうな気もする。
 本書は、これまで見過ごしていた日本語の美しい景色をうかがわせてくれるものである。本書の内容は61のQ&Aにまとめられており、どれも興味深いものである。
 著者は、NHK放送文化研究所主任研究員。放送番組で用いる日本語の方針立案・策定に携わっているという。そう聞けば、大岡越前守のように、明快な裁きで日本語の使い方に白黒付けてくれると思う人も少なくないだろう。しかしながら、本書の面白いところは、単純に白黒付けないところである。
 日本語の使い方には、年齢差や地域差、男女による差異などが存在している。本書で紹介されている全国無作為抽出調査やウェブアンケートの結果は、こうした日本語の多様性を目に見える形で明らかにしてくれる。
 読み進めながら、日頃何げなく使っている日本語の奥深い所にあるものに気付かされた。言葉に敏感になりたい人に一読を勧めたい。
(1870円 世界文化社)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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