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「学びの多様化学校」全国84校へ拡大~新たに25校が開校、未設置自治体は残り13県~

11面記事

施設特集

自分に合った学び方を選択できる学校へ

全国300校規模まで拡大する方針

 文科省は3月末、2026年4月に新たに開校する「学びの多様化学校」(いわゆる不登校特例校)の指定状況を公表した。学びの多様化学校とは、通常の教育課程の基準に必ずしもしばられず、不登校など多様な背景をもつ子どもたちの実態に応じて柔軟なカリキュラムを編成できる学校のこと。従来の学級・授業の枠組みでは「学びにくさ」を抱える子どもに対し、個別最適な学びを保障するための制度的位置づけを持つ点に特徴がある。
 文科省は2023年3月にまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)において、2027年度までにすべての都道府県・政令指定都市に少なくとも1校以上を設置し、将来的には全国300校規模まで拡大する方針を掲げている。不登校児童生徒数が過去最多を更新し続ける中、学校外の学びの場だけでなく、公教育の中に多様な選択肢を整備することが急務となっている。

多様な形態で地域の実情に対応

 今回、新たに25校が開校することで、全国の学びの多様化学校は84校(公立59校、私立25校)へと拡大する。設置形態別にみると、学校として独立して設置される「本校型」が32校、一部の学級のみに設置される「分教室型」が30校、本校と離れた場所に設置される「分校型」が11校、高等学校の一部コースに適用する「コース指定型」が11校となっている。自治体の実情に応じて多様な設置形態が認められていることが、制度の柔軟性を示している。
 一方で、岩手県、群馬県、石川県、福井県、山梨県、長野県、和歌山県、鳥取県、広島県、徳島県、愛媛県、佐賀県、熊本県の13県は、いまだ設置校がないままとなっている。人口規模や不登校児童生徒数、既存の教育支援体制など、自治体ごとに事情は異なるものの、地域間格差が生じていることは否めない。 特に地方部では、教職員確保の難しさや財政的制約、既存校との役割分担の整理など、設置に向けた課題が複合的に存在している。

制度の意義と今後の課題~子どもが安心して学び続けられる環境を~

 こうした状況を踏まえ、文科省は未設置自治体への支援を強化する方針である。具体的には、「学びの多様化学校マイスター」の派遣を通じて、制度の趣旨や設置効果の説明、カリキュラム編成の助言、地域の関係機関との連携方法などについて、自治体の相談に応じる体制を整えている。また、既設校の実践事例を全国に発信し、学校現場や保護者、地域住民の理解促進を図ることも重要な取り組みとなっている。
 学びの多様化学校は、不登校の子どもを「元の学校に戻す」ことだけを目的とするのではなく、子どもが安心して学び続けられる環境を保障することを重視している。個別学習、少人数指導、体験活動、オンライン学習の活用など、学校ごとに特色ある教育が展開されており、子どもが自分に合った学び方を選択できる点に大きな意義がある。制度の拡大は、学校教育の多様性を広げるとともに、子どもたちの学びの権利を保障するための重要な一歩である。
 今後、全国的な整備が進むにつれ、自治体間の格差是正や質の担保、教職員の専門性向上など、取り組むべき課題は多い。しかし、学びの多様化学校の拡充は、不登校が特別な問題ではなく、誰にでも起こり得る「学びの多様性」として社会全体で受け止める契機となる。制度の成熟に向けて、国・自治体・学校・地域が一体となった取り組みが求められている。

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