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生徒指導~小学校段階での考え方~【第4回】

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教科・指導

小1の性同一性障害(上)

 自分の性別に違和感を持つ小学校1年生に対応した経験がある。生徒指導関連の発言・執筆をされている先生方や評論家の先生方に、この対応はどうすればよいのかおききしたい。そして現場でやって見せていただきたいのである。当時は、誰一人として前例がないと助言は得られなかった。閉口するか、親の決めつけじゃないですか。と、拒絶され聞く耳を持たない、面倒なことには触れない心が痛感させられた。これが貴重な経験となり過度に依存しない、期待しないで出来る限りの自分で学び納得できる域までという姿勢が堅持されたように思える。
 人は言いにくいことを最後に話す傾向がある。性同一性障害の1年生が再来年度入学してくることを前任校長から引き継ぎの最後に伝えられた。さらに詳細は分からないと。入学式まであと数日のことであった。 多方面に助言を求めたが、前例がないと断られ、逆に勉強させて欲しいと専門家が押し寄せた。現実への対応が出来ない専門家が、この道の専門家になっている現状がよく分かった。
 この場合、どの分掌が担当するのか、どの担当を集めて協議すればよいのか。養護教諭、保健主事、生徒指導 、スクールカウンセラー、学年主任等様々なケースを想定し、配慮事項を挙げ対処を決めたにしても、詰まるところは、担任を誰にするかにある。この人選に悩むのが一般的だろうが私は直感的に目論んでいた。もちろん、学級経営の上手、さらに信念と柔軟性と専門性を持ち合わせたバランスのよい教師でなければならない。
 このような事態にあわてず対処するには、日ごろから教師と関わり、その特性を把握して意図的に育成しておかなければ判断は鈍る。すなわち、人間関係が仕事をするのである。こうした構えが身に付いたのは困難校を望んで勤務してきた財産だと感謝している。一番厳しくて一番優しいA先生、次はB先生、次はC先生と打診しようと決めたが、もちろんA先生が即決で引き受けられた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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