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生徒指導~小学校段階での考え方~【第72回】

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権力に振り回されず

 議会の関係で卒業式の日程を早めて下さいと教育長に言われたことがある。耳を疑ったが誰も異議を唱えない。
 「校長の裁量のはず」と意見を言ったところ、翌朝、市議会の議会運営委員長からメールが入った。あなたは「郷に従う」と言うことを知らないのか、そんなことをやっていると信頼を失いますよ、と。そのメールに呆れた。

 さらに、歓送会でも席はなく、やがて連絡さえ来なくなった。加えて不信感を漏らしていると虚偽のたれ込みがあったらしく、教委に呼び出され、録音までされた。
 こうした出来事が10年ほど前にあった。その担当のほとんどは、どういうわけか生徒指導を専門とした諸先輩であった。親分子分を口にする輩である。

 さて、生徒指導の基本として、権力に振り回されない偏らない崇高な人権意識が必要である。いかなる立場になろうとも、権力に毒されず、屈しない信念が必要であり、その滋養は艱難辛苦の中、信念を貫いて生きる先輩や同僚などを範とし、真摯に指導を求めなければ身に付かない。
 その道は、どこまでも大誠実で対処するため、蕀の道にはなるが、振り返ると明暗がはっきりと分かれている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~